『スマホ人生戦略』

堀江貴文さんの本にはいつも賛否両論あり、悪い書評をつける方も多い。

 

この本も、ともすると極論と捉えられかねないような論調で、これからの「スマホとの関わり方」について述べられているため、違和感を感じる肩も多いだろうと推測する。

また、これスマホと関係なくない?というような文章も多く、過去の著作と重複する内容もある。中身が薄い!というようなレビューも見かけたが、わからないではない。

しかし、僕自身が読んだ限り、いくつか重要なメッセージが散りばめられていた。

 

特に印象的だったのは、「スマホは身体拡張のツールである」と指摘されていた点だ。
“身体拡張“なんていわれるとSFの話みたいでピンとこない。

普段ネットでくだらない記事を見たり、ゲームをしたるしてるスマホは、あまりにも日常的なものであるからである。

 

しかし、少し考えてみると“身体拡張“としての要素は多分にある。

たとえば地図アプリで初めての場所に行く時、道に迷うことは格段に減ったのではないだろうか。どんなに方向音痴でも、スマホに従って道を進めば目的地に辿り着けるだろう。もはや人間の“方向感覚“はスマホに移管され、大幅に機能が向上したと言える。

また、以前は単純に“知識がある”ことが一つの価値とされてきた。今となってはほとんどのことはスマホで調べればすぐにわかることで、スマホを普通に使えば以前の“知識人“の何倍もの情報にアクセスできるようになっている。自分のアタマの一部をスマホによって拡張しているかのように。

 

もう一つ印象的だったのは、“すべての仕事はスマホでできる“というメッセージだ。

堀江さんは仕事のコミュニケーションはもちろん、プレゼン用の資料作成もスマホでやっているらしい。最近は楽曲の編集をスマホで行う人が増えてきており、今後どんどんスマホで仕事をする人が増えていくと予想している。プログラミングなどもpyrhonistaなどスマホで本格的なコーディングができるアプリがでたり、ノーコードが進歩したりなど、大半の人にとってPCが必須ではなくなる時代が近づきつつあるのかもしれない。

自分のここ1−2週間の仕事を振り返ってみても、会議に出る、誰かにチャットで指示をする、誰かのアプトプットをレビューする、の3つが大半を占めていて、たしかにスマホでも全然こなせるなという印象。

一方、システムの要件定義をする際や事業計画などの複雑な資料を作る際は、図や表を多用するのでPCでやったほうが圧倒的に早い。ここら辺はどれだけ自分のタスクに実務を持っているかによって大きくことなってきそうではある。(堀江さんは細かい資料を自分で作ることはないと思われる)

要するに、誰でもすぐにスマホだけで切り替えるべき!ということではなく、”PCでないと仕事ができない”というような固定概念を捨て去ることが重要である。

 

さいごに、スマホを使って「扉」を開ける有効な方法について述べられている。
それは、情報をインプットしたら、自分の意見をアウトプット、発信することである。
発信する努力を続け、小さなことを積み重ねていくことが後から大きな差を生む。
ここまで切れ味のいい論調で常識とは異なることが書かれているだけに、この一節には重みがあり、本質をついていると思う。

 

このメッセージを受け止めつつ、発信を積み重ねるためにこの記事を書いた。
途中まではスマホで頑張って書いたが、やはりまだPCのほうが効率がいい笑

 

amzn.to

『マーケット感覚を身につけよう』

 

近年、論理的思考、ロジカルシンキングについてはビジネスマンの間にもかなり普及してきた。

会社にいてもロジックツリーやMECEに始まるフレームワークに触れる機会も当たり前になってきたと感じる(正しく運用できているかは別だけど、、、)

 

この本は、物事を考えるための論理的思考とは別のアプローチ、“マーケット感覚”の必要性にについて説いたものだ。

 

まず“マーケット”とは何か。
不特定多数の売り手と買い手が、互いのニーズを満たす相手とマッチングされ、価値を交換する場所である。
その定義に当てはめれば、就活市場や婚活市場も“マーケット”と言える。

 

マーケットを構成する要素として、取引される価値、需要者、供給者、取引条件があるが、このうち「提供する価値」が最も重要だ。

 

“マーケット感覚”とは「顧客が、市場で価値を取引する場面」を、「直感的」に思い浮かべマーケットで何の価値が取引されているかを理解することがことである。 


「提供する価値」を論理思考で導くことはできるだろうか?
できないことはないが、概念的なものが対象となるためハードルは高い。マーケット感覚で考えた方が簡単である。そして、マーケット感覚は論理的思考と同様に身につけることができるスキルである。

 

社会の市場化と市場の統合によって、従来の市場における取引とは大きくゲームのルールが変わってきている。ゲームのルールがどう変わったのか見極める力がないと、生き残ることは今後どんどん困難になる。よいものを作ればうれる時代は終わった。

 

このような状況はキャリア形成においても当てはまる。
一般的な職業では、物が売れなくなればそれに連動してその職業に対する求人も少なくなるが、医師・弁護士など政策によって供給量(有資格者)の数が変動する職種は時に需給のバラインスが大き崩れる。難関資格を持っているといっても安定できるわけではなく、”マーケット感覚”を駆使し、市場の動向を見極める力を身につけなければならない。

 

マーケット感覚を持つと、これまでとは違うものが見えるようになる。

市場とは無縁と考えられているNPOなどの活動においても、市場のメカニズムは存在する。どうやったら寄付をもらえるか、勝てるストーリーを考え、寄付者に伝えることができなければ、必要な資金は集まらない。

 

必要なのは特定のハードスキルではなく、今後何が必要とされるか読む力、マーケット感覚である。

 

高度に発展した資本主義国では、これまで価値と認められなかったのも価値と認められるようになる。ただしその価値が即座にマネタイズできるかは別の話。マネタイズは方法論であり、重要なのは価値である。すぐにはマネタイズできなくても、本当に価値のあるものを直感的に見極める力が重要。

 

普通の人でも売れる価値を持っている。甲子園然り、AKB48然り、もともと存在していたモノの中に新たな価値が見いだされ、巨大な市場になったものがたくさんある。この潜在的な価値に気づけるのがマーケット感覚のある人である。

 

これからの社会は、どんどん市場化していく。それを避けることは、もはや不可能だ」

 
この重要な”マーケット感覚”は一部のセンスのある人間のものだろうか?
そんなことはなく、われわれのような”普通の人”でもこの感覚を鍛えることができる。

 

プライシング能力を身につける。

すでに値札のついたものについても、自分の基準に基づき値付けをしてみる。
その際、商品価格の相場や商品の生産にかかったコストに基づいて値段を決めるのではなく、自分にとっての価値で値段を判断する。
そこからどんな人がこの価値を求めるか、誰に向けて売れば最も高く売れるか考える。

 

インセンティブシステムを理解する

人がある行動を取った際、その行動の背景となる要因はなんだろうかと考える。

政治家の不正が起こった際など、「金のためだ!」と決めつけるが、インセンティブシステムはそんなに単純ではない。行動を取った自分自身ですら、なぜその行動を取ったのか正確に把握できていないことすらある。インセンティブシステムを理解するには、普段から自分の欲望に素直になること。自分のなかの”欲望センサー”が高まると他人の欲望(インセンティブ)の動きも敏感に感じ取ることができるようになる。
ここは特に印象的な部分だが、著者は規制で行動を規定するのではなく、インセンティブをうまく活用すべきと説く。また、規制を気にしすぎるあまり、欲望を押さえ付けてしまっている状態を“規制脳“という病気として批難する。

 

市場に評価される方法を学ぶ

市場に評価されるには、従来のように特定の組織において上司など誰か1人の属人的な評価を受けるためのスタンスから大きく変えるひつやうがある。なにかを始めるまでに「作り込む」のではなく、「とりあえずやってみる」ことで早く市場のフィードバックを受け、迅速に改善していく姿勢が重要。「作り込む」能力よりも、迅速な意思決定をする能力が必要になる。

 

失敗と成功の関係を理解する

先述のように、早く試すことで失敗をするが、その失敗を「学び」とし、成功につなげる。

早く失敗することは、従来の「研修」などとならぶメジャーな学び方になっている。

 

市場性の高い環境に身を置く

市場性の高い場所とは、需要者と供給者が価値交換したり、インセンティブシステムが大きく働く場所である。スーパーのレジは市場性の高い環境と言えるが、上司の顔色を伺ってマニュアルに従った仕事をするだけの大企業の管理部門は市場性が低い。

 

、、、、、、、

 

さまざまな「マーケ本」を読んできて、根底に流れる思想はそれらと近しいものを感じた。

しかし、世間の「マーケ本」がその手法を“論理的に思考“し、フレームワーク化しようとしいるのに対しこの本は、あえて“感覚”というワードを用いていることに著者の思いを感じた。

理屈をこねくり回すより、素直に直感的に向き合った方が本質に近づけることも多いものだ。

 

『ユダヤの商法』

日本マクドナルド日本トイザらスなどの創業者である藤田田(ふじたでん)が、ユダヤ人から学んだとするビジネスの原則を書いた本。

 

これまでもビジネス書をある程度読んできているので、“目から鱗”のような真新しいことは書いていない。

 

ただこの本の初版が1972年と考えると、過去読んできたビジネス書のほうがこの本の焼き増しだったともいえるんじゃないかと思う。

 

書きっぷりのせいもあるとは思うがが、正直ピンとこない部分も多かった。

”このピンとこない”部分が、会社から給料をもらうサラリーマンと、自分のビジネスを持つ商売人との違いなんだろう。

 

論理的に構成された文章というより、“原則”100個を説明していく形式なのでうまくまとめるのは難しいが、印象に残った点をまとめる。

 

①信用が何より重要である

ユダヤ人は異邦人を簡単には信用しない。

特に日本人は契約を守らないから信用されない。藤田田ユダヤ人との契約を守るため、損失を出してまで納期を死守した。

一度契約を破れば、二度と信用されることはない。

曰く、『契約は神様との約束である。』

 

②数字で把握する合理主義

“78:22の法則“で物事は動いており、ビジネスもこの法則に従って行う。

日々の会話も数字で語る習慣を持ち、物事を『キャッシュでいくらか』という基準で評価する。人に対する評価も、金のある人がエライ人と考えており、学歴や職業などでは評価しない。

 

③「損」をさける

辛抱よりは見切り占領、潔く損切りをする。

 

④厚利多売

薄利多売はバカのすること。

希少価値を売りに、金持ち相手に商売をする。金持ちに流行してから、一般人に伝播するまで2年かかる。その間利益を享受できる。

また、自信のある商品は絶対に値引きしない。

 

⑤時間に関する考え方

時間も商品であり、不意の客は泥棒。

寿命を計算せよ。(そしてすべきことを考えよ)

働くために食うのではなく、食うために働いてる。

 

⑥商売はタイミング

商人にとっては、タイミングこそ命。

タイミングによって大儲けも大損もする

 

あとは、有名な女を狙え、口を狙えなどが解かれている。